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岡 弘; 丹野 敬嗣; 矢野 康英; 大塚 智史; 皆藤 威二; 舘 義昭
Journal of Nuclear Materials, 547, p.152833_1 - 152833_7, 2021/04
被引用回数:7 パーセンタイル:72.21(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、ODS鋼被覆管の強度決定因子であるナノサイズ酸化物粒子及び母相組織の高温・応力負荷下での安定性を評価するため、700Cで45,000時間を超える内圧クリープ試験に供して破断したODS鋼被覆管の微細組織観察を行った。観察したODS鋼は、焼き戻しマルテンサイトを母相とする9Cr-ODS鋼及び再結晶フェライトを母相とする12Cr-ODS鋼の製造まま材及びクリープ破断材である。破断後の内圧クリープ試験片から切り出した板片を電解研磨にて薄膜化し、透過電子顕微鏡JEOL 2010Fにて観察した。観察の結果、ナノ粒子のサイズ及び数密度は700Cにて45,000時間を超えるクリープ試験後においてもほぼ変化なく、高温長時間試験中に安定に存在していたことを確認した。また、9Cr-ODS鋼の強度決定因子の一つである焼き戻しマルテンサイト組織についても、製造まま材とクリープ破断材の間に大きな違いはなく、母相組織は安定であることがわかった。
矢野 康英; 丹野 敬嗣; 岡 弘; 関尾 佳弘; 大塚 智史; 皆藤 威二; 舘 義昭
no journal, ,
高速炉用に開発された11Cr-フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)とSUS316鋼との異材溶接部について、30000時間までの熱時効試験を実施し、熱時効の影響を評価した。硬さ測定, 継手引張, 溶金部のミニチュア引張試験による強度試験と透過型電子顕微鏡を用いた組織解析を実施し、両者の相関評価を実施した。その結果、異材溶接継手は全ての温度で健全であることを示し、低温での熱時効硬化に及ぼす組織因子としてCr-リッチ相の形成が大きいことを明らかにした。
丹野 敬嗣; 矢野 康英; 岡 弘; 関尾 佳弘; 大塚 智史; 皆藤 威二; 舘 義昭
no journal, ,
フェライト/マルテンサイト鋼は、耐スエリング性に優れ、原子力機構では11Cr耐熱鋼であるPNC-FMSを高速炉炉心材料として開発した。その炉内強度特性の実証や材料強度基準整備を進めるためには、照射データ及び熱時効効果に関するデータの蓄積が重要である。本研究では、「常陽」にて455-835Cで、最大32.5dpaまで照射されたPNC-FMSのリング引張試験と硬さ試験を実施し、熱時効後の試験結果と比較した。600C以上で照射されたPNC-FMSは室温での引張強さ及び硬さが製造まま材及び熱時効後よりも低下しており、明瞭な照射軟化を確認した。一方、835Cで照射されたものは、熱時効材よりも硬くなっており、照射中の相変態が原因と考えられた。
金野 杏彩; 大場 洋次郎; 冨永 亜希; 諸岡 聡; 大野 直子*; 橋本 直幸*; 鵜飼 重治; 大和田 謙二*; 元川 竜平; 熊田 高之; et al.
no journal, ,
高温クリープ強度と照射耐性に優れるODS合金は、核融合炉の有力な候補材料の一つである。しかしながら、高Cr含有フェライト系ODS鋼は、748K以下の高温で長時間熱時効すると相分離を起こし、材料の脆化を招いてしまうことが懸念されている。そこで、脆化の詳細を解釈するため、微細組織だけでなく異常X線小角散乱法を用いた。この手法は、見たい元素の電子軌道に近接した波長のX線を照射することでその元素の情報のみを抽出することができるため、照射材料のような複雑な組織の分析に適している。本研究では、高Cr-ODS鋼に関して異常X線小角散乱法とTEMを併用し、それらを比較し微細組織の情報を定量的に評価することを目的とした。試料は商用MA956(Fe-20Cr-4.8Al-0.4Ti-0.02C-0.4YO (mass%))で、本試料に関して748Kでの熱時効を0, 1, 10, 100, 1000時間施した後、SPring-8のBL22XUにて異常X線小角散乱法を実施し、FIBにて作成した試料に対してTEM観察を行った。異常X線小角散乱法を用いた分析結果によると、Crリッチ相のサイズは熱時効時間の増加とともに増大しており、100時間以上の熱時効で明瞭な界面を持つ析出、10時間以下で明瞭な界面を持たない相分離であることが示唆された。一方で、TEM観察結果によると100時間以上の熱時効材においては、球状の析出物、10時間以下では周期的な変調構造のような組織がそれぞれ確認された。これは、熱時効10時間と100時間の間にスピノーダル分解から析出へと変化する遷移点があることを示唆している。今後詳細な微細組織分析を実施予定である。
都留 智仁; 鈴土 知明; 板倉 充洋; 譯田 真人*; 尾方 成信*
no journal, ,
BCC合金の変形は、温度と合金元素の濃度に強く依存して変化することが知られており、Cottrellによる格子間原子の転位への固着によるという従来の説や、温度への依存性を転位運動の摩擦力によって説明するConradの説など、古くから多くの研究が行われてきた。しかし、BCC合金における軟化現象などのメカニズムは従来の機構によって説明することが困難である。BCC金属では、転位運動はキンク機構に基づく熱活性化過程であるため、合金元素が活性化エネルギーに与える影響を直接計算し、温度と濃度および合金元素の種類に依存した力学特性を評価した。また、有限温度の転位運動のダイナミクスを直接解析する手法を構築し、合金元素の影響を包括的に議論する。
阿部 陽介; 佐藤 裕樹*; 大久保 成彰; 金野 杏彩
no journal, ,
超高圧電子顕微鏡を用いた電子照射下その場観察実験と反応速度論を組み合わせることにより、格子間原子集合体の1D運動挙動がその核形成・成長過程に与える影響を調べた。その結果、残留不純物に捕獲され静止状態にある格子間原子集合体は、電子照射による弾き出しが引き金となって1D運動を生じ、残留不純物への再捕獲を免れた割合だけ表面消失を生じ、それにより数密度が連続的に減少することが示された。さらに、反応速度論モデルにおいて、1D運動を行う格子間原子集合体が他の格子間原子集合体に吸収される効果を考慮することにより、実験で観察された格子間原子集合体数密度の照射強度依存性が高純度鉄において弱くなる現象を再現することが示された。また、自己イオン照射下での電子顕微鏡その場観察実験により、格子間原子集合体の1D運動頻度が照射イオンビーム強度に概ね比例することが分かった。このことは、電子照射下と同様にカスケード損傷下でも、格子間原子集合体の1D運動は照射による弾き出しが引き金となって生じることを示唆している。